屋外キュービクルが錆びた時は塗装しておけば良いのか

久しぶりに面白い困った話が来ました。

面識があって一緒に仕事をしたこともある方から・・・

 

「電気保安協会から屋外キュービクルが朽ちて来たから塗装してください。」

 

との報告書が上がってきて、一緒にキュービクル 更新の見積書も添付されてきたんだけど。。

 

「キュービクル の機器類が更新時期なのでついでに塗装や板金工事もやったほうが良いですよ。」

とのこと。

やはり屋外に受変電設備である、キュービクルが置かれていると錆が浮いてきます。

設置してから20年以上も経つ施設なのでしょうがないんですよね。

現場にはまだ行ってないのでどんな状況なのかはわかりません。

5年ほど前に行った施設での受変電設備更新工事が頭をよぎります・・・

 

なぜ錆びるとダメなのか?

 

キュービクルは鉄板で受変電機器を覆っています。

受変電機器である変圧器や開閉器は屋外仕様の製品は聞いたことがありません。

屋外仕様にしたらまた箱を被せるだけなんじゃないかな・・・

キュービクルの中に雨が入ると、

受変電機器が錆びてしまいます。

 

それが短絡事故につながります。

 

これは大事故です。

 

雨によって錆びて、その小さな錆が他の部分に接触することで短絡が起きます。

事故が起きると、完全に電気が止まることになります。

事務所ならパソコンは動くけど、サーバーが動かなくなりデータが触れないので仕事ができないです。

工場ならラインが止まってしまいます。

停電になったら工場機器が壊れたり、設定し直しになる施設で計画外の停電の損失は計り知れません。

一度穴が開いてしまうと、止まることなくボロボロと錆が取れてしまいます。

 

そのほかに、錆ができるとピンホールの様な穴が空いてしまいます。

そこから虫が中に入ることがあります。

その虫が導体に接触することで短絡することがあります・・・

ヘビや毛虫なんかが雨をしのぐために?キュービクルの穴から中に入るのでしょうか?

キュービクルには変圧器の熱を逃がすために換気扇があります。

その換気扇には虫が中に入ってこない様に細工が施されています。

その様に虫からも受変電設備を守っています。

 

 

解決策はあるのか?

 

キュービクルの鉄箱を交換することが一番安心です。

これは間違いがありません。

受変電機器を全部交換するのであれば絶対におすすめです。

なぜなら、全部新しくなるんですもん。

穴もないですし、受変電機器もキュービクルもこれから20年以上、使っていくことができます。

 

しかし、お金がかかります・・・

受変電機器だけでも真空遮断器(VCB)や高圧負荷開閉器(LBS)などがあります。

変圧器を交換すると単相変圧器と三相変圧器で2種類があり、施設の容量に合わせて台数が決まります。

変圧器は容量によって30万円から数百万円まであるので金額が変わってきます。

とは言っても、

変圧器まで交換しないのであれば、全部新設することは考えられません。

上記の様に受変電機器を更新する金額の大半が変圧器になります。

 

それに合わせて

鉄箱であるキュービクルが高いです。

変圧器が2台で構成されている受変電設備でも箱だけで200万円ほどはすると思います。

受変電機器と合わせると400万円です。

それなら鉄箱を残して受変電機器を入れ替えすることを選びますよね。

 

鉄箱だけを残す場合、塗装だけで良いのか?

 

錆を落として(ケレン)下塗り、上塗りをすればそれで解決すると思いますか?

上で錆が出ると鉄板がポロポロと落ちてくる、

と書きました。

ピンホールの様な穴が開いていたら塗装を厚くしたとしてもすぐに塗装が取れてしまいます。

その穴を塞ぐために鉄板を当てます。

鉄板を当てた上から塗装をします。

これでピンホールが塞げます。

 

 

これで一安心!

と思ったら・・・

 

どんなにケレンを綺麗にしても一度錆びた部分を落とすことは難しいのでしょうか・・・

その錆が綺麗な鉄板の裏から周りに広がっていくことがあります。

毎年メンテナンスをして状況を見続けることが必要です。

 

そのほかにも

その時に鉄板を当てて綺麗にしても、錆が見えなかった他の箇所から錆が浮いてくることがあります。

現地確認を毎年することでその都度鉄板を当てて綺麗に塗装することができます。

 

塗装することには注意が必要です。

扉周りを塗装する時に塗料が垂れて枠周りに付いてしまうことがあります。

これによって扉が塗料で枠と引っ付いて開かなくなります。

これでは受変電設備のメンテナンスができなくなります。

大問題に発展します。

こんなことでキュービクルを一式交換しなければならなくなったら悔いが残ります。

10万円かけた作業から200万円が出ていった・・・

 

まとめ

 

建物にとって大事な受変電設備を更新や修繕することは気を使わなければなりません。

錆が浮いているからといってケレンし、鉄板当てて塗装することをするだけでは不十分です。

見た目だけ綺麗でも中身がダメならすぐにメッキが剥がれます。

それをすることのリスクも頭に入れたほうが良いです。

やるなら思い切って全面塗装をする勢いで行った方が良いのかもしれません。

失敗すると数年後、さらに錆が浮いてくるかもしれません・・・

何もしないで放置しておくと重大事故に繋がって、自分たちの首を絞めることになります。

 

受変電設備でトラブルを抑えるために!

 

なるべく長持ちさせて故障や不具合が無いようにつかいたいですよね?

そのために、受変電設備やキュービクル などの情報をまとめました。

受変電設備が故障や不具合が起きると、

その建物の電気が全て止まってしまいます。

 

施設の電気を非常発電機で全てまかなえる施設は少ないはずです。

そのために少しでも情報を頭に入れておいてもらいたいです。

 

また、電気は見えないので煽ってくる工事業者さんもいるようです・・・

そのためにも理論武装して口車に載せられないようにした方が良いと思います。

 

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